プロ野球の問題や観客動員数減少


プロ野球は第二次世界大戦後より長きに渡って日本のプロスポーツの中で最も高い人気を誇り、観客動員数を増やしていたが、1990年代以降、トップ選手の大リーグへの流出やインターネット・衛星放送などメディアの急速な発達、さらに日本人の価値観の多様化によってサッカーなど他のスポーツへの人気分散が進み、観客動員が頭打ちとなっている。また、2001年以降、特に関東地区におけるテレビ中継の視聴率が大きく低下している。

さらに大リーグにならったフリーエージェント制度の導入などによって選手年俸が高騰していることもあり、近年セ・パ交流戦やパ・リーグのプレーオフ導入(2007年からはセ・リーグも実施予定)などの集客策を講じ収入増と野球人気の維持を図っている。しかし現行プレーオフではシーズン3位の球団がリーグ優勝する可能性も生じており、2005年の西武などはシーズン勝率5割を切っていながら3位ということでプレーオフに参加している。もし優勝していればペナントレースを行う意味そのものが全く無くなってしまう大矛盾を生むところであり、集客目的のショーアップが行き過ぎるとかえってプロ野球の公式戦の価値やファンの関心を下げ、ますます人気低下を招くとの指摘もされている。

フリーエージェント制度導入やドラフト制度の変更により、選手年俸や新人獲得費が増大して球団の経営を圧迫している。特にフリーエージェントについては、過去これを使って高額年俸で移籍した選手が金額に見合う成績を残した例はほぼ皆無に近く、成果につり合わない高コストが経営側で問題視されている。また、メジャーリーグへの選手移籍が容易になり、メジャーリーグで活躍する選手が注目されるようになった。

パ・リーグ球団は全国レベルのテレビ中継がセ・リーグ球団より大幅に少ないため、事業として苦しく、セ・リーグ球団に対して1リーグ制への移行や交流戦を希望していたが、協力を得られずにいた。2004年にパ・リーグの大阪近鉄バファローズは、チーム命名権の売却を希望したが、他球団の反対にあい頓挫し、ついには同じパ・リーグのオリックス・ブルーウェーブと合併を交渉するまでに至った。これは、かつて近鉄が消費者金融大手のアコムの社名ロゴをユニフォームに入れた時や、国際メディア企業でアメリカメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャース買収歴もある豪ニューズ・コーポレーションが近鉄を買収するとの報道が流れた時、外資系企業や消費者金融業に嫌悪感を持つ読売新聞グループ本社の渡邉恒雄会長が強硬に反対し、近畿日本鉄道本体の経営難もあって、自力再建を断念したためと言われる。また、ファンの地理的範囲が重なるセ・リーグの阪神タイガースに偏向する在阪マスメディアの報道も一枚絡んでいた。この合併交渉を始まりとする出来事については、プロ野球再編問題_(2004年)を参照のこと。

2004年に石毛宏典により立案され、2005年に発足した四国アイランドリーグは、既存の日本のプロ野球リーグとは異なり地域に密着し野球競技の普及・活性化を目的として組織された。

四国は日本でも屈指の野球競技の盛んな地域であり、また著名な俳人で日本において野球競技の紹介・普及に努めた正岡子規は愛媛県松山市の出身である。(なお正岡子規が"Baseball"を野球と翻訳したとの説が一般に流布しているがこれは誤りで、本名の「升(のぼる)」に野球という文字を「の・ぼーる」と洒落て呼んだのが本当である。そして実際に「野球」と翻訳したのは中馬庚(ちゅうまん かなえ)である。)

従来から各球団、日本プロ野球選手会などが行っていた少年野球教室に加え、高校球児に対してプロ野球選手がシンポジウム形式で技術指導等を行うという企画が始まっている。しかしそれらの活動の規模は実効力を期待するにはあまりに小さく、主目的は「指導そのものではなくではなく、このような普及活動を行っているという事をマスコミを通じて世間にアピールすること」にあるという見方が妥当だと思われる。
プロ野球の球団関係者及び選手・OBは、近年(特にプロ野球再編問題以降)になり「地域密着」を連呼するようになっている。

巨人中心の構造
プロ野球は、プロと称してはいるものの、実態は他の多くのアマチュアスポーツと同じ日本型企業スポーツの延長上にあるといえる。オーナー企業によって保有される球団が企業内の一体感の醸成と外部への宣伝効果を期待されるという点で、プロ野球はサッカーのJリーグ・バスケットボールのbjリーグを除く他競技のスポーツリーグと本質的に何ら変わらない。

しかしプロ野球は一つ、他のスポーツリーグと一線を画する部分がある。読売ジャイアンツ(以下巨人)の存在である。

巨人は今なお他の球団・スポーツチームとは異次元の人気を誇り、それを前提としたマスコミ、特に巨人の親会社である読売グループの大量報道によってプロ野球は他のスポーツとは比較にならないほど大衆の目に触れる機会に恵まれている。そのため、プロ野球球団を保有することによる宣伝効果は他のスポーツの比ではなく、それが赤字に苦しむ球団を親会社が支え続け、今なお幾つもの新興企業がプロ野球参加を望む背景となっている。

また、セ・リーグに限って言えば、巨人人気は他球団を直接的に支援する形になっている。安定して高視聴率が期待される巨人戦のテレビ放映権料は1試合あたり1億円とも言われ、セ・リーグ各球団は毎年多額の収益を巨人戦より得ている。セ・リーグのいくつかの球団は、巨人戦放映権料が絶たれると深刻な経営危機に陥る可能性すらある。

このようにプロ野球全体が巨人に過度に依存して運営されてきた経緯から、読売グループは球界において絶大な影響力を持っており、特に1990年代半ばからはFA制度やドラフト逆指名制度などを利用し、資金力にものを言わせ次々に有力選手を巨人に集める強引な補強策を取った。しかしこれがリーグ全体の戦力の不均衡を生み出し、結果的に巨人、ひいてはプロ野球の人気の低下を引き起こした面は否定できない。

さらに、1990年代後半から始まった日本人選手のメジャーリーグへの流出が2000年代に入って加速し、それまで国内のみで完結していた日本プロ野球のあり方が大きく変化している。かつてのような巨人への戦力一極集中の構図は完全に崩れており、事実巨人は2003年以降4シーズンに渡りリーグ優勝すらしていない。また近年特にインターネット等メディアの急速な発達やパ・リーグ球団の本拠地分散および地方密着型の経営もあってファンの支持も多様になり、巨人一辺倒から個人の嗜好によって各々好みの球団に特化する傾向へと変わりつつある。

これらの要因によって1990年代後半以降現在に至るまで、巨人戦の視聴率は低下し続け、地上波での放送の減少やCM収入の減少を招くという事態に至っており、そのことによる放映権料収入の低下や、メディアの野球離れによる人気の低下がプロ野球全体の沈没の危機を招くという問題を抱えている。

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